オフショア開発は、ソフトウェア開発やWebシステム開発、スマートデバイスアプリ、運用保守などをベトナム、フィリピンなど、日本より人件費が安く豊富なIT人材を持つ海外に委託することです。
オフショア開発はコスト削減やIT人材不足を補うメリットがある一方、低品質なシステムが納品されたり、開発遅れや仕様変更によりトータルコストが高騰するなど失敗事例も多く存在します。
そこで今回はオフショア開発でよくある失敗事例と、失敗から学ぶ成功方法をご紹介します。オフショア開発で過去に失敗してしまった方や、これからオフショア開発を依頼したいと考えている方は、オフショア開発企業選びの参考にしてください。
オフショア開発の失敗事例と対策
サビテックはベトナムオフショアサービスで顧客満足度・創造価値No.1のテクノロジーカンパニーになることをビジョンに掲げ、2021年7月に創業いたしました。チームの中心メンバーは10~17年に及ぶ日本向けオフショア開発経験を有しています。そんな当社のメンバーが、これまで現場で経験した失敗事例とその解決策をご紹介します。
1.コミュニケーション不足 / 言葉の壁
日本人とベトナム人との間には「言葉の壁」があります。英語でも日本語でも、話の行き違いや勘違いは発生してしまいますし、コミュニケーションの小さなずれが蓄積されると、納品物が期待外れになってしまったり、開発がやり直しとなってしまうことが起こります。
社会環境や文化、風習の違いから日本では当たり前と思われていることや「行間を読む」といった些細な認識のずれが発生してしまいます。
例えば、オフショア開発を初めて導入する企業には、仕様書内に多少の言葉足らずの個所や説明不足の個所があったとします。社内のエンジニアに依頼する場合は、行間を読み過去の習慣によってその行間を埋めることができますが、社外では通用しません。仕様の抜け漏れが発生したり、想定したものと違う設計になってしまう可能性もあります。
このコミュニケーション不足や言葉の壁を乗り越えるためには、下記を意識しましょう。
■解決ポイント
・モックアップやプロトタイプなどを作成し、言葉やテキスト以外でも確認をする
・オフショア開発チームに報(報告)・連(連絡)・相(相談)を徹底する
・打ち合わせの際には曖昧な表現を避け、必ず議事録を作成し双方の認識に差がないか確認する
・リアルタイムでオフショアチームの理解を深める
・ブリッジSE(ブリッジエンジニア)を配置する
・オフショア開発を依頼する国の文化や風習、国民性を理解する
・現地視察にて開発チームと交流し、相互理解を深める
2.開発のブラックボックス化
オフショア開発では開発業務が社内ではなく外部で行われていることから進捗状況を直接確認することができません。定期的に進捗状況を確認して開発状況がブラックボックス化してしまわないように気を付けましょう。
特に請負契約では注意が必要です。長い期間確認を放置してしまうと、イメージと異なる納品物が出来上がってしまう恐れがあります。
開発のブラックボックス化を防ぎ、プロジェクトを円滑に進めるためには下記を意識しましょう。
■解決ポイント
・品質や進捗を確認する方法や期間をあらかじめ定めておく
・定期的にPMと打ち合わせをして状況を確認する
・トラブルが発生した際は、打ち合わせの頻度を上げてお互いが課題解決に向けて協力する
・納品物を分割して納品したり、水平展開する
・初回納品に十分な工数をかけ、確認及びフィードバックをする
3.メンバーの入れ替わりが激しく知見が残らない
ある時点まで問題のなかったアウトプットについて、急に可読性が落ちたり、納品が遅延したことはありませんか?このようなケースは、メンバーの退職や変更による入れ替わりが大きく影響している場合があります。
ベトナムは日本と比較して離職率が高く、プロジェクトが完了するまで担当メンバーが変わるといったことが珍しくありません。メンバーの入れ替わりが多いと知見が蓄積されず、納品スピードが低下し、品質も劣る可能性があります。
ではこのようなメンバーの入れ替わりによる品質低下を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
■解決ポイント
・担当メンバーを固定してもらう
・ドキュメントを適宜作成し、属人化しない体制を構築しているオフショア企業を選ぶ
・人材の教育や離職率低下に注力している企業を選ぶ
4.発注側支援不足
オフショア開発を成功させるためには、オフショア開発企業の選定は言うまでもありませんが、発注側の協力も欠かせません。
オフショア開発を初めて導入したり、慣れていない企業では、すべてを委託企業に丸投げしてしまうということがよくあります。それでは期待した納品物は出来上がりませんし、納期遅延ややり直しによるコスト増大につながってしまいます。
では発注者としてどのようなポイントに注意すべきでしょうか。
■解決ポイント
・企画段階でオフショアチームのプロジェクトマネジャーと一緒に管理工数を計画する
・オフショア開発チームを積極的に支援する
・プロジェクトマネジャーと定期的に打ち合わせをおこない、進捗・課題・リスクの確認を行う
5.案件に不向きなオフショア企業を避ける
ベトナムをはじめ、最近ではフィリピンやタイ、バングラデシュなど東南アジアを中心に日本向けオフショア開発を請け負う企業が増加しています。その中から自社の案件に最適な企業を見つけるのは苦労がいることかもしれません。
しかし発注案件の開発がそもそも不得意であったり、日本企業との実績や経験がない企業は、いくら他社よりはるかにコストが安かったとしてもコミュニケーションコストや期待する納品物を得るまでの労力がかかることから避けるべきでしょう。
ではどのようなオフショア開発企業を選定すればよいのでしょうか?
■解決ポイント
・コストだけに注目せず、前提条件・リスク・アプローチなどを慎重に確認する
・企業の実績を確認する
・オフショア開発企業の開発プロセスを確認する
・BrSEやコミュニケーターの日本語力を確認する
オフショア開発を成功させるために
オフショア開発はIT人材の確保やコスト削減など、色々なメリットがあるものの「オフショア企業を選んで丸投げすればよい」といった安易な考え方は避けるべきです。発注先のオフショア企業を理解するほか、発注元の準備にも十分に気をつけましょう。
初期段階では大変だと思われるかも知れませんが、軌道に乗りスムーズになってくると小さな工数で最大のメリットを得ることができます。
日本企業と17年以上のビジネスを通じて、企業規模を成長させ、スタッフ数人から数百人まで育て上げてあげた私達サビテックのリーダー層がオフショア開発についてのお悩みを無料でコンサルティングいたします。
オフショア開発を検討されている、また現在のオフショア企業に不満をお持ちの企業様は、ぜひ一度お問い合わせください。